壱町田湿地の様子 2025年11月20日
秋は駆け足で過ぎていき、もう晩秋から初冬のような感じです。最低気温も10度を下回るようになりました。降水量は少なく、湿地の地下水位は例年に比べ低い状態です。わずかに湿り気が残った湿地では小さくなったミミカキグサがポツリポツリと黄色い花を咲かせていますが、もう勢いはありません。

10月下旬から11月中旬にかけて、A湿地の片隅ではスイラン(キク科)が花を咲かせていました。スイランは水辺や湿地に生える多年草で、初夏に咲くニガナ(キク科)に似た雰囲気のある花ですが、ニガナに比べ草丈は高く50センチから1メートル近くにまでなります。周囲のヌマガヤやイヌノハナヒゲの株間から見える黄色い花が目を引きます。

こちらもキク科のコウヤボウキの花です。コウヤボウキは草本状の落葉小低木で、雑木林の木漏れ日の中、11月上旬から咲き出しました。花は1年生枝の先にだけつくので、株の外回りに点々と頭花が見られます。高野山では昔は竹を植えることを禁じたので、この木の枝を集めて箒を作ったことからこの名がついたとのことです。

11月下旬に入り、B湿地ではウメバチソウ(ニシキギ科)の花が盛りを迎えています。このところの寒さで蕾がどんどん開き出しました。10月に、ウメバチソウが出現する範囲に生えているヌマガヤなどの高茎の草をウメバチソウの草丈に合わせて刈っておいたので、花を見つけやすくなりました。花は小さいですが、今までよりも出現する範囲が広がったような気がします。

ブドウのように見えるのはアオツヅラフジ(ツヅラフジ科)の実です。アオツヅラフジは落葉性のつる植物で、雌雄異株、夏に黄緑色の細かい花を咲かせます。秋につける実は始めは青く、熟すと黒くなります。和名のツヅラはカズラと同じつるの意味で、つるが緑色なのでアオツヅラの名があります。

草刈りを終えたC湿地ではフユノハナワラビ(ハナヤスリ科)が姿を見せました。フユノハナワラビはシダ植物で、葉は栄養葉と胞子葉の部分とに分かれています。写真で株元の緑に見えるのが栄養葉で光合成を行う部分、上に伸びた黄色っぽい粒がたくさん付いているのが胞子葉で、胞子を飛ばします。周囲の植物が枯れ始めた秋からが生長のシーズンです。

11月の小中学生ボランティア活動では「冬に見られる鳥の話」と題して、壱町田湿地周辺で見られる鳥について、守る会の方に話をしていただきました。冬は鳥の観察がしやすいシーズン、雑木林ではメジロやシジュウカラ、コゲラやジョウビタキなど何種類かの小鳥が見られます。講義の最中には雑木林のあちこちでヒヨドリがせわしなく鳴いていましたが、一体どんなおしゃべりをしていたのでしょう?
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