壱町田湿地の様子 2024年3月20日
令和6年の春の訪れは早いかと思っていましたが、2月下旬から3月上旬にかけては強い寒気が南下したこともあり、季節は春と冬を行ったり来たりしている感じです。壱町田では、ハンノキに続いてヒサカキの花が満開を迎え、ウグイスのさえずりが聞かれるようになってきました。
D湿地の水路沿い、隣地の田んぼとの境付近にはツクシ(土筆)がよく出ます。春の訪れを感じさせる植物ですが、ツクシはシダ植物のスギナ(トクサ科)の花にあたるもので、地下茎でスギナとつながっています。まずツクシが地上に出て、頭にある胞子嚢から胞子を飛ばし、その後にスギナ本体が地上に現れて葉を広げます。
D湿地北側の傾斜地には、同じくシダ植物のウラジロ(ウラジロ科)が群生しています。ウラジロ(裏白)の葉は正月飾りにも使われるので、目にしたこともあると思います。常緑のシダで、春になると葉柄の先に新しい芽をV字に展開して伸びて行くので年々大きくなっていきます。大きく生長したウラジロの群落は背丈ほどにもなります。
B湿地には、傾斜地の上部にアセビ(ツツジ科)が1株生えています。アセビは常緑低木でやや乾燥した山地に生育する木なので、湿地内に生えているのは少し不思議ですが、湿地周辺の草刈りや間伐を長年続けてきた結果、湿地の範囲が少し広がったのです。湧水が滲み出る場所より上では乾いた土壌が見られるためアセビも林縁部に生えていたものだと思われます。
3月上旬は寒い時期があったので、なかなか開花しませんでしたが、中旬になり暖かい日が続いたB湿地とC湿地ではショウジョウバカマ(メランチウム科)が咲き出しました。まだ小さな株が多いのですが、白色や淡紅色、淡紫色と場所や株によって微妙に色が違うのが面白いです。
A湿地ではモウセンゴケ(モウセンゴケ科)が3月中旬にようやく越冬芽を開き始めました。湿地の片隅のほんの限られた場所に、小さな個体が30株ほど見られます。冬の間は茶色く小さな越冬芽だけが残っていたので心配でしたが、春になり小さな葉が開き始め一安心です。
湿地の所々にパッチ状に生育しているトウカイコモウセンゴケ(モウセンゴケ科)は、赤い斑点のように見えます。近寄って見てみると開いた葉の腺毛に粘液をキラキラ光らせ、もう捕虫を始めていました。中には写真のように花柄を伸ばし始めた株もあります。モウセンゴケより一足早く生長しています。
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