壱町田湿地の様子 2025年4月20日
令和7年の春は、断続的な寒気の流れ込みがあったり、夏日を感じさせる陽気があったりと寒暖差の大きな季節のようです。草木が芽吹き始めましたが、湧水量は少なく湿地は乾き気味で、水の管理に気を遣う日が続いています。
3月下旬になると桜便りが聞かれるようになります。壱町田では4月の上旬から咲き始めました。壱町田で見られるのはヤマザクラ(バラ科)で、保全地域内に数本あります。桜の開花を知らせる標本木のソメイヨシノとは違って開花と新芽の展開が同時なので、樹全体が花でおおわれるという感じにはなりませんが、春の風情を感じさせてくれます。
桜の花が散る頃、モチノキ(モチノキ科)の花が咲き始めました。モチノキは暖地の山地に自生する常緑高木で、庭木に用いられることもあります。壱町田では学習広場の北側に大きく育った木が立っています。雌雄異株で、写真の花には雄しべが見えることから雄の木だと分かります。
写真はサルトリイバラ(サルトリイバラ科)の花です。サルトリイバラも雌雄異株でつる性の落葉低木です。写真の花には雌しべが見られることから雌株だということが分かります。秋になると赤い果実をつけることでしょう。蔓にはしっかりとした刺があり、これに猿が引っかかって捕えられてしまうということからこの名がついたようです。
B湿地の一角では少し早いですがアンペライ(カヤツリグサ科)の花が開き始めていました。アンペライはネビキグサとも言い、イグサに似て針状の細長い葉をもつ湿地に生える植物です。B湿地では日当たりがよく水の溜まりやすい場所に生えています。放っておくと広がって密生していくので少し厄介ですが、アンペライも湿地植物の一員です。
春先の湿地では越冬したキチョウが飛ぶ姿がよく見られますが、その中でツマキチョウ(シロチョウ科)の姿を確認しました。かぎ状になった羽根の端(つま)が黄色くなっているのが分かります。黄色い模様が見られるのは雄で、雌は羽根の先は白っぽいです。年1回早春に発生し、その地方のサクラの開花期とおおよそ同じ頃に見られるようです。
4月2日にシロバナナガバノイシモチソウ(モウセンゴケ科)の発芽を確認しました。ここ数年では早い方です。写真は4月10日に撮影したものなので少し大きく育っています。写真のように湿地の所々に密集して出ている場所もあるのですが、生長の過程でどんどん数が減っていき、このような場所で生き残るのは数株です。開花するまで上手く育って欲しいものです。
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