壱町田湿地の様子 2024年5月20日
5月に入っても4月と同様に湧水量が多く湿地は非常に湿潤な状態です。4月中旬に発芽し始めたシロバナナガバノイシモチソウですが、発芽はまばらで、令和6年は個体数が少ないように感じます。また、ムカシヤンマの姿も数匹しか見られないのが気がかりです。湿地内ではトウカイコモウセンゴケが淡紅色の花を咲かせ、林内からはハルゼミの鳴き声が聞こえてきます。
4月12日に発芽を確認したシロバナナガバノイシモチソウ(モウセンゴケ科)です。1か月ほどたって径が1.2センチメートル程度に成長しました。地表が湿潤なため温度が上がりにくいのと、餌になる虫を捕えられないのとでなかなか大きくならないようです。よく見ると根元近くは変色し始めており、生長の途中で枯れて消えていってしまう可能性もあります。毎年多くの発芽を確認しますが、花を咲かせるまで生長するのはそのうちの一部です。
水辺ではコウホネ(スイレン科)の花が咲いています。コウホネは多年生の水草で愛知県では絶滅危惧1.B類に指定されています。長く直立した花柄の先に1個の黄色い花が上向きに開きます。花弁のように見えるのはがく片です。咲き終わった花は水底に倒れ、そこで実を結び種を作ります。倒れた場所で種まきがなされるという仕組みです。コウホネは保護区域北側に隣接する道路からフェンス越しにも見られます。
5月11日にササユリ(ユリ科)の開花を確認しました。ササユリは日本固有の多年草で、中部地方以西に分布しています。昔は知多半島でも所々で自生しているのが見られたのが、今では殆ど見られなくなってしまったようです。葉の感じが笹に似ていることからこの名がついており、花を咲かせるまでには7年以上かかるとのことです。ネザサの草むらに生育している小さな株はなかなか見つけにくいものです。
この木、何の木?その昔、正体がわからなかったことから「ナンジャモンジャ」という別名を持つ木で、ヒトツバタゴ(モクセイ科)といいます。日本では美濃や尾張地方、対馬にだけ自生する珍しい落葉高木で、愛知県では絶滅危惧1.B類に指定されています。写真の木は、岐阜県で生えていたものを株分けしてもらい壱町田に移植したものです。学校の校庭などでも時々見かけることがります。
雑木林ではオガタマノキ(モクレン科)の花が咲いていました。オガタマノキは関東以西の太平洋側、海岸に近い山地に自生する常緑高木です。モクレンの仲間ですが常緑樹です。神社に植えられることが多く、枝を神前に供えて神霊を招くのに用いられます。壱町田湿地の雑木林にはこの他にもサカキやヒサカキなどが生育しており、こちらも神事や仏事に用いられる木です。何となくご利益がありそうな‥
落葉の中に写っているものが分かりますか?体のまだら模様が落葉の色と入り混じって溶け込んでいます。学習広場の傍らで茂っていたシダを刈ろうと葉をつかんだところ、その下に隠れていたのがニホンマムシ(クサリヘビ科)でした。大きくはありませんでしたがヒヤリとしました。スズメバチも飛び始めました。「毒虫・マムシに注意」の立て札が壱町田湿地にはあります。
令和6年の壱町田湿地一般公開の予定は、7月21日(日曜)、8月3日(土曜)・4日(日曜)、9月14日(土曜)・15日(日曜)の5日間です。
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