壱町田湿地の様子 2023年9月20日
「暑さ寒さも彼岸まで」そろそろ気温も落ち着いてきてほしいものですが、まだ30度を超える真夏日が続いています。日照時間は短くなっているのですが、気温が高い状態が続き、秋に咲く草花も咲いてよいものか迷っているような感じです。
この時期、湿地の中ほどで広い範囲にわたって繁茂しているのがマネキシンジュガヤ(カヤツリグサ科)です。関東以西の湿地などに生育する1年草で、シンジュガヤの仲間では草丈が低く、やせて細い茎が束生し、高さは20cmほどです。花序を支える茎が垂れて、手招きしているようです。
B湿地の中央、傾斜地のやや上部にはミカワシンジュガヤ(カヤツリグサ科)が生育しています。同じく湿地に生育する1年草ですが、マネキシンジュガヤより草丈は高く40cmほどで、硬い感じがします。三河で最初に採集されたのでこの名がついており、絶滅危惧2類に指定されています。
イワショウブ(チシマゼキショウ科)は、亜高山帯の湿原や本州中部以北の多雪地に生育する多年草です。寒冷地性の植物なので、暑さが続く状況では花の開花も遅れているようです。花茎や花柄には粒状の線毛が密生し、飛来した小さい虫がつくのでムシトリグサとも言われていますが、最近の研究では、イワショウブの仲間で捕虫した虫から栄養分をとるものがあることが発見されたとのことです。
湿地の周辺部ではサワシロギクに交じってヒメシロネ(シソ科)も咲き始めました。ヒメシロネは山間の湿地に生育する多年草で、地下茎でも広がっていきます。シロネ(白根)とは地下茎が白いことからついた名で、小形であることからヒメ(姫)となっています。小さく白い花が葉腋に群れるように咲いています。
保護地区の北側フェンス沿いには湿地状になった場所もあります。保護地区内では所々から地下水が染み出しており、その一部を溜めた場所です。夏の間コウホネの花が見られましたが、この時期、サワギキョウ(キキョウ科)の花も見られます。サワギキョウも湿地に生える多年草です。青紫色のきれいな花で、道路からもフェンス越しに見ることができます。通りかかった折には是非ご覧ください。
サワギキョウの他に、サワヒヨドリ(キク科)の花も見頃です。サワヒヨドリも山地の日当たりのよい湿地に生える多年草です。周りをよく見ると、わずかですがシラタマホシクサも草の合間に出ているのが分かります。一般公開ほどではありませんが、こちらもフェンス越しに見ることができます。
令和5年の一般公開では5日間を通して652人の方にご来場いただきました。どうもありがとうございました。
より良いウェブサイトにするために、ページのご感想をお聞かせください。
このページに関するお問い合わせ
歴史民俗資料館
〒470-2336 愛知県知多郡武豊町字山ノ神20番地1
電話番号: 0569-73-4100
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。(外部リンク)