8月の植物

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ページ番号1002311  更新日 2022年10月21日

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アオツヅラフジ(ツヅラフジ科)

写真:アオツヅラフジ(ツヅラフジ科)

山や道ばたなどにはえる落葉性のつる植物。葉は長さ4-8cm、多くは先がまるく、浅く3裂するものもある。雌雄異株。多くの黄白色の花が穂になって咲く。花はがく片6、花弁6をもち、花弁はがく片より小さくて先が2裂する。雄花にはおしべ6、雌花にはめしべ1がある。めしべは子房が深いみぞで6部に区切られ、受粉後は各部が完全に分離して、それぞれが1個の果実となる。1個の花から2~6個のまるい果実がみのる。果実は球形、径6mm、はじめは青く、熟せば黒くなる。根や茎が薬用(鎮痛・消炎)に使われる。

湿地での生育場所 雑木林のヘリ

アリノトウグサ(アリノトウグサ科)

写真:アリノトウグサ(アリノトウグサ科)

日当たりのよいやや湿った山野にはえる多年草。茎は下部が地をはう。直立した部分の高さは12‐25cm。葉は小さく、長さ6‐12mm、幅4‐10mm、ほとんど柄がなく、対生。おしべ先熟型の花。小さな花が下向きに咲く。花は、がく片4、花弁4(黄褐色~赤褐色)。開花すると、おしべ8本が垂れ下がって、黄色い花粉を出す。そして花弁とおしべが散り落ち、めしべがのび出てくる。めしべには4本の花柱があり、柱頭は赤くて房のように裂ける。和名は蟻塔草で草全体を蟻塚に、小さな花をアリに見立ててこの名がついた。花期:7~9月。

湿地での生育場所 B湿地

ウド(ウコギ科)

写真:ウド(ウコギ科)

山野に生える大形の多年草。茎は太く、高さ1~1.5m、茎にかたい毛がまばらに生える。葉は数個が互生する。上部の葉のわきから大きな円錐形の花序が出て、横枝の上に丸いかたまりとなって花がつく。花には長い柄があって、径約3mm、花弁5、おしべ5、めしべ1。同じ株の横向きの枝には雄花だけつくことがある。果実は球形、径2mm、熟すと黒紫色になる。若いやわらかい茎は風味のある山菜で、日本全土に分布。花期:7~9月。

湿地での生育場所 観察路わき

クサギ(クマツヅラ科)

写真:クサギ(クマツヅラ科)拡大画像

山野の林縁や荒れ地などに生育する、高さ3~5mの落葉小高木で、枝先に多数の花をつける。一つの花の開花期間は約3日間。花は細長い管になっていて長さ約24mm。その先は5裂し、おしべ4とめしべ1が花の前方に伸びる。おしべ先熟型の花(同花受粉をさけるしくみ)。その後おしべはしおれ、めしべは花から25mmほど突き出し、柱頭は2つにわかれて受粉する。枝と葉に強い臭気がある。白い花に芳香。花期:8~9月。

湿地での生育場所 雑木林のへり

クズ(マメ科)

写真:クズ(マメ科)

どこにでもはえるつる性の多年草。秋の七草のひとつ。茎は10mにものびて、左巻きにからまり、黄褐色の毛を密生する。葉は3小葉からなる複葉で、小葉は長さ15cm以上にもなり、しばしば浅く裂ける。多数の花が集まって長さ11~17cmの花序となる。花は長さ18~20mm、紅紫色、旗弁はよく弁より色が淡く、基部には大きな黄班(蜜標となる)がある。果実は長さ5~10cm、多毛。かつては重要な資源植物であったが、今では害草扱いである。花期:7~9月。

湿地での生育場所 雑木林のへり

コオニユリ(ユリ科)

写真:コオニユリ(ユリ科)

オニユリに比べ全体やせ型で、葉は淡緑色、暗紫色のまだらはほとんどなく、むかご(球芽)ができない。葉はややうすく幅5~10mm、花被片は長さ6~8cm(オニユリでは、7~10cm)と、やや小さい。花粉は大きさがそろい、よく結実する。日本全土の海岸から山地まで生える。花期:8月。

湿地での生育場所 B湿地

サワギキョウ(キキョウ科)

写真:サワギキョウ(キキョウ科)

山の湿地にはえる多年草。茎は高さ50~100cm、葉は無毛で柄がなく、縁に微細な鋸歯が並び、切り口からは白い乳液が出る。花冠は長さ3cmほど、上下2唇に深く分かれ、上唇は2裂、下唇は3裂、それぞれの裂片はすこぶる細くて反りかえる。おしべ5は花糸の中央部から先までが合着し、筒状となる。中は花粉でいっぱい、その後ろにめしべがあり、成長する力で花粉を押し出す。おしべ先熟型の花。花期:8~9月。

湿地での生育場所 B湿地

シロバナナガバノイシモチソウ(モウセンゴケ科)

写真:シロバナナガバノイシモチソウ(モウセンゴケ科)

日本固有の新種としてシロバナナガバノイシモチソウの学名 Drosera makinoi masam.が命名された。(2013 愛教大教授渡邊幹男氏)。酸性低湿地(貧栄養)に生育する食虫植物(1年草)。壱町田湿地を代表する植物の一つ。茎は7~20cm、葉は細長く4~7cmで、粘液を出す腺毛が密生。粘液から芳香を出し、昆虫を誘引捕捉し養分とする。葉に対生して長さ5cm前後の総状花序が出て、まばらに3~7花つく。花弁は5で白色、長楕円形で長さ6~8mm。おしべ5、花柱(めしべ)は3個で先が2深裂する。北関東・東海地方と九州に分布。全国で十指に満たない。花期:7~9月。愛知県:絶滅危惧1A類CR。(国:EN)《豊明市には「アカバナ」Drosera toyoakensis M. Watanabeがある。和名は、ナガバノイシモチソウ。花は大きく、色は赤(ピンクに近い)く、一房につく花の数も多い。草丈も高くがっしりしていて勢いが良い》。*どちらも日本固有の新種として新しい学名がそれぞれにつけられた(2013 渡邉幹男氏による)。

湿地での生育場所 A・B湿地

スズメウリ(ウリ科)

写真:スズメウリ(ウリ科)

水辺にはえる1年生のつる草。茎はやわらかくて細く、葉と向き合って枝のない巻きひげが出る。雌雄同株(雌雄異花)。花冠は白色、径6mm、雌花の下に丸い緑色の子房があるのですぐわかる。果実は球形、径1~2cm、熟せば灰白色になる。この小さな果実を、大型の「カラスウリ」に対して「スズメウリ」とつけたと思われる。また一方では、小さな灰白色の果実をスズメの卵に見立てたとも言われている。花期:8~9月。

湿地での生育場所 雑木林のへり

トウカイコモウセンゴケ(モウセンゴケ科)

写真:トウカイコモウセンゴケ(モウセンゴケ科)

日当たりの良い酸性の湿地に生える多年草(食虫植物)。湧き水による土壌崩壊で生じた裸地に、最初に出現するパイオニア植物の一つ。長さ1~2cmのさじ状の葉は、密に出てロゼット状になる。葉の上面に紅色の長い腺毛があり、虫を捕える。花弁5で淡紅色、倒卵形で長さ5~8mm、おしべ5で花柱は3。先が2深裂。花期:6~9月。今まではカンサイガタコモウセンゴケと呼ばれていたが、中村・上田両氏の研究(1991)により、独立種として「トウカイコモウセンゴケ」の標準和名を発表した。(知多半島の植物誌 浜島繁隆著。)

湿地での生育場所 A・B湿地

ヌマトラノオ(サクラソウ科)

写真:ヌマトラノオ(サクラソウ科)

湿地に生える多年草。横にはう地下茎から直立する地上茎を出し、高さ40~70cmになる。茎は円柱形。葉は披針形で、互生し、柄はない。両面ほとんど無毛、長さ4~7cm、幅1cm前後。茎の先にふさ状の細長い花のかたまりをつける。花穂は直立して、密に花をつけ、長さ10~20cm。花は白色で5裂し、径5~6mm。オカトラノオに似ているが、それよりも小型。花の穂を虎のしっぽに見立てたもの。花期:7~8月。

湿地での生育場所 A・D湿地

ヘクソカズラ(ヤイトバナ・サオトメバナ)(アカネ科)

写真:ヘクソカズラ(ヤイトバナ・サオトメバナ)(アカネ科)

低地の林の縁や草原にはえるつる性の多年草。葉は対生、長さ4~10cm、葉柄の基部には茎の上に三角形のりん片がある。花は長さ1cmほどの筒形。花冠の先は5裂、筒部の外面は白色、内面は暗紅色。長い2本の花柱があり、おしべは5本で、花糸はごく短く、花冠の内面につく。「ヘクソカズラ」:草全体に悪臭があるのでついた名前。カズラ(葛)とは、つる性の植物のこと。花の上面の様子が灸(きゅう・やいと)をすえた跡に似るので、ヤイトバナ(灸花)。サオトメバナの名は、花を早乙女の笠に見立てたもの。花期:8~9月。

湿地での生育場所 雑木林のへり

ムラサキミミカキグサ(タヌキモ科)

写真:ムラサキミミカキグサ(タヌキモ科)

日当たりのよい湿地に生育する小型の食虫植物(多年草)。本州以南~東南アジアに分布。根茎は地中浅くはう。ところどころに捕虫のうと仮根をだす。葉はさじ形かへら形で、長さ4~7mm。長さ5~20cmの花茎を数本だし、2~4個の花をつける。花には長さ2~3mmの柄がある。花は、淡い紫色で、3~4mm。二唇で、上唇は長卵円形、下唇は円錐状に広がる。中央部は大きく膨れあがる。きょは円錐形で短く、少々前方へ湾曲。がくは、花後4~5mmのびて耳掻き状となる。花期:7~9月。愛知県:準絶滅危惧NT。(国:NT)

湿地での生育場所 A・B湿地

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