壱町田湿地の様子 2026年10月20日
9月はぐずついた天気が続きましたが、10月に入ると一転して好天が続いています。一般公開を終えた湿地の花々はそろそろシーズンを終えようとしています。一方、湿地脇の水路や水辺では、公開のときにはあまり目立たなかった小さな花が目につきます。

ミゾソバ(タデ科)の花です。夏の終わり、一般公開のときにも咲いているのですが、湿地の脇の草むらのような場所で咲いているので、あまり注目されなかったかもしれません。しかし、淡いピンクの縁取りが入った小さな花が群れ咲く様子は可愛く綺麗です。花弁のように見えるのはがく片で、先が五つに深く割れています。

こちらはアキノウナギツカミ(タデ科)の花。遠目から見るとミゾソバと同じように見えます。どちらも同じタデ科の植物で、茎の下の方は地を這うように伸び、上の方は立ち上がります。茎には下向きに刺毛がついていて、他の草に絡むように伸びていきます。近づいて見るとミゾソバとは葉の形が違い細長い矢じりのような形をしており、全体にほっそりして見えます。

湿地周辺ではミゾソバやアキノウナギツカミに混ざってヒメジソ(シソ科)の花も見られます。ヒメジソは山野の林縁や湿った場所に生える1年草で、よく枝分かれをした先で、淡紅色を帯びた白い唇型の小さな花を咲かせています。この他にもヒメシロネ(シソ科)の小さな白い花が湿地周囲の草むらで見られます。

湿地の中ではシラタマホシクサやサワシロギクとともにイワショウブ(チシマゼキショウ科)の白い花も見られます。イワショウブは愛知県の絶滅危惧2類(VU)に指定されている植物で、通常は山地の湿原に生育する植物ですが、愛知県では丘陵地の湧水湿地でも見られます。しかし、湧水湿地の枯渇や遷移、開発による減少で危機的な状況に追い込まれているとのことです。

雑木林で目に留まるのがクサギ(シソ科)の実です。クサギという名は枝や葉を傷つけた時に悪臭がすることからついた名ですが、花からは甘くいい匂いがします。秋になって写真のように藍色に実が熟すと、実を覆っていた紅色のがく片が星のように開き、花が咲いたように見えます。

10月上旬のとある日、D湿地の草刈り後の畔でツマグロヒョウモン(タテハチョウ科)が葉の上にしきりに尻を擦りつけていました。おそらく卵を産み付けているのだろうと思われますが、この辺りはムラサキサギゴケが咲く場所です。ツマグロヒョウモンの幼虫の食草はスミレの類なのですが、この辺りにはスミレは見当たりません。何となくパンジーの葉に似ているサギゴケの葉に産み付けてしまったのかもしれません。
いえいえ、数日後、更に草刈りを進めて行ったところ、すぐ近くの高茎の草の根元からスミレの葉が現れました。ツマグロヒョウモンには卵を産み付けた場所の近くに食草があることが分かっていたのでしょう。その日は刈った草の下から現れたスミレの葉に、またまたツマグロヒョウモンが飛来しました。まるで、こちらが草刈りをするのを待っていたようです。
令和8年度の公開は、6日間で580人の方に見学していただきました。どうもありがとうございました。
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