4月、新年度の始まりに合わせるかのように壱町田の保護地の植物も次々に芽吹いてきました。例年に比べやや遅れ気味に思われた芽吹きや開花でしたが、このところ続いた初夏を感じさせる陽気に、遅れを取り戻したようです。ショウジョウバカマやヤマザクラの花が散り、エビネが花を咲かせ始めました。
マムシ(クサリヘビ科)です。保護地を囲むフェンス周辺の草を刈っていたら、草の下から姿を現しました。それほど大きい方ではありませんが、ドキッとします。冬眠から覚めて活動を開始し始めたようです。カエルやトカゲの姿も目にするようになりました。
フェンス周辺には色々な野草が生えています。ケキツネノボタン(キンポウゲ科)は田の畔など湿った場所に生える多年草です。キツネノボタンよりも茎や葉に毛が多く生え、葉の切れ込みが深く幅がややせまいです。「狐の牡丹」とは葉の形が牡丹に似ていることからきています。
林床に目をやると、日が差し込む辺りにはチゴユリ(イヌサフラン科)の群生が見られます。チゴユリは林の中に生える多年草で、種子の他に地下茎でも増えていきます。小型の白い花が茎の頂に1~2個斜め下を向いて開きます。「稚児百合」はこの花の様子からついた名前です。
B湿地の周辺にススキやヌマガヤに混ざってヒメカンスゲ(カヤツリグサ科)が咲いていました。山間では普通に見られる多年草で、春先に葉の間に何本も茎を立て小穂をつけます。頂のものは雄性で黄色い葯が目立ちます。その下に見えるのは雌の小穂です。
湿地ではノグサ(カヤツリグサ科)も花をつけています。一見何の変哲もない草ですが、開発などの影響で湿地のような生育条件を満たす環境が少なくなっているため、愛知県では絶滅危惧1B類に指定されています。壱町田湿地でも保護していく必要のある貴重な植物です。
画面の中央付近をよく見てください。十字形をしたシロバナナガバノイシモチソウ(モウセンゴケ科)の芽生えが見えます。4月中旬、今年も発芽してくれました。画面右に見えるのはマツの落葉ですから、比べるとその小ささがわかると思います。小さくても葉には腺毛がキラキラ光っています。
令和4年の一般公開の予定は、
7月24日(日)、8年6月(土)、8年7月(日)、9月17日(土)、9月18日(日)の5日間です。
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