秋も深まり、木々の葉も色づいてきました。アカメガシワやヤマイモの葉は黄色く、ハゼノキ(ウルシ科)の葉は赤く雑木林に彩りを添えています。また、秋の虫の音に代わり、野鳥のさえずりが盛んに聞かれるようになってきました。
湿地ではイヌノハナヒゲやシラタマホシクサなど盛りを過ぎた一年草の植物が枯れ始め、全体の景色が薄茶色がかってきました。湿地で白く目立っていたサワシロギクやイワショウブの花は赤紫に色を変え、花期の終わりを告げています。地表をよく見るとミミカキグサやホザキノミミカキグサの小さな個体が所々で花をつけて頑張っていますが、これらの植物もまもなく今シーズンを終えるでしょう。代わって、花の盛りがスイラン(キク科)とウメバチソウ(ニシキギ科)です。スイランは湿地に生える多年草で、細い葉をつけた1mほどの細い茎がすっと立っています。枝分かれした茎の先に黄色いタンポポに似た花がついていますが、よく見ると筒状花はなく舌状花ばかりです。ウメバチソウは梅の花に似た白い花をつける北方系の植物で、山の日当たりのよい場所に生育する多年草です。5弁の花の形が梅鉢紋に似ています。
<観察場所>スイラン:A湿地 ウメバチソウ:B湿地
花のシーズンが終わると湿地や周辺の草刈り作業の始まりです。11月上旬のある日、ササやススキを刈り払っていると、草の下から何やらとぐろのようなものが・・・・・、マムシでした。今年は何回かマムシに遭遇しました。また、雑木林の中にはとんだ置き土産もあります。夏から見られたのですが、一カ所に何回にもわたって糞をした跡が・・・・・、おそらくタヌキの「ため糞」だと思われます。資料館にはタヌキのはく製がありますが、数年前に壱町田湿地の出入り口付近で横たわっていたタヌキをはく製にしたものです。壱町田は、街中ではあまり見られなくなった自然の一コマが見られる場所でもあります。
これからの季節、目を楽しませてくれるのが、かわいい野鳥たちの姿です。
<観察場所>マムシ:A湿地 タヌキの糞:雑木林 キビタキ:観察路
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